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第3回 エンジニアリングチェーンを強化し、価値と競争力 の再構築を図れ 中編

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「デジタル加工技術+アナログ技術=感動」

中村 一方、それで日本の強みが活きるのかというと、いろいろ議論もあると思います。先ほど日本の製造業は下流が強いと言いましたが、私はそれを否定しない一方で、やはり上流をいかに強くしていくかを考えていかなければならないと考えています。とはいえダブルヘッドでは駄目で、上流と下流がいかにうまく連携していくかがポイントだと思うのです。


松本 (上流と下流が)いかに融合していくかということですね。同感です。それができるようになると、日本のモノづくりの強さが復活するのではないかと思いますね。デジタルとアナログの融合ならぬ、職人とITの融合というような感じで、それが次の課題だと思っているのです。ここで、ちょっと中村さんに見てもらいたいものがあるんですよ。

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中村 これは何ですか?


松本 グループ会社の金型メーカ、IBUKIが作った成形品のサンプルです。金型にカーボン調の模様を直彫りし、一発で成形したものです。カーボン柄がきれいなのはもちろんですが、光沢が抑えられていて高級感があり、ある大手家電メーカで採用していただきました。(従来のような仕上げは行わず)機械だけで仕上げたもので、加工機の性能が良く、ある程度のノウハウを持っていれば、だいたいこのぐらいのものができるようになってきたのです。
中村 ほうっ、これは素晴らしいですね。


松本 実はこの金型を作る工程で、職人がある工程を加えています。いわば超デジタルの加工技術と人の感覚によるア
ナログ技術が融合しているわけです。過去数年、職人にしかできないことに頼るのはいけないという否定論があり、職人が持っているノウハウをデジタル化するという流れがありました。もちろんそれも重要ですが、その一方で、人でなければできないものを残し続けていくのも大切ではないでしょうか。「この人にしかできない何か」と、ハイテク機械を融合することによって、ユーザを感動する何かができてくると私は思います。ハイテクかアナログかのどちらかではなく、両方が融合する中で、オペレーションの強さを活かしながら新しいモノを作っていくヒントが見つかるような気がします。


中村 まさしく、ヒントになることはもちろん、それは自社の価値作りにおける根源的なアプローチだと思います。先にも少し話しましたが、技能と工法は価値作りのうえで明らかに必要です。技能は技能で、アイデアも含めて徹底的に磨き上げなければいけませんし、工法については、精度や生産性を上げるためのエンジニアリング手法として徹底的に磨き上げる。これらを一緒に考えてしまうと不味いのですが、この辺が日本の製造業は不得意なのです。


松本 両輪ですね。


中村 その両輪を個別に高めていくのです。自分たちは(技能と工法の)どちらが強いのか、これは技能(によって生み出された価値)なのかと。


松本 逆に教えていただきたのですが、そういうことは別の人、もしくは別の組織がやるのがいいのでしょうか?


中村 例えば金型の話で言うと、金型を組み立てるときに、ねじを締め付ける順番がありますが、ある一定の品質を出す方法を実現する手順がそこに存在するならエンジニアリングの範疇になります。でも、現場の作業者が皮膚感でどこまで削るのかといった調整事はエンジニアリングとまではいきません。そのうちに、それが分析されて工法になるかもしれませんが、今の段階では「アンダー工法」と言ってもいいものです。これらは両方あっていいことですが、工法の世界で徹底的に手法化していくことなのか、それとも技能伝承していくことなのかを分けて考えるべきで、分析的に見ていくことが大切です。


松本 かなり難しそうですよね。


中村 目的を切り分けたうえで、そこを指導していく役割が必要ですね。

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