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第8回:段取りロスを考慮した流し方の改善 ~ツーリング・アクティビティによる段取りロスの見える化と改善 ~

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前回は段取り・調整ロスをツーリング・アクティビティで表現する方法をご紹介しました。 今回はこの段取りによるロスの影響を少なくする方法を1つご紹介します。
※ 前回の Tech Magazine で作成したプロジェクトを基に説明を進めるので、作成されていない場合は下記URLを参考に作成してください。
第7回:ロスを表現しよう! ~ツーリング・アクティビティの使用方法~ものを挙げています。

一般的に、1つの加工を1台の設備で行う時よりも、複数の設備による並列加工の方が、生産性が高いことは明らかです。
しかしながら、これは1種類の製品を生産する場合を想定したもので、多品種生産の場合はこの限りではないことがあります。
ここでは複数設備の並列加工における段取りの影響を検証し、流し方を変えることで、改善効果がどれだけあるかを見ることにします。

前回取り上げた製造工程の前提条件は以下のようなものでした。
○ 各製品の製造工程
製品A : プレス加工A1 (30秒) → プレス加工A2 (20秒)
製品B : プレス加工B1 (50秒) → プレス加工B2 (40秒)
○ 製品の切替時に行われる金型交換に要する時間
取付け : 15分
取外し : 10分

LEXER tech7 01

今回は、この製造工程に下記の条件を加えてみます。
○ プレス加工A2およびプレス加工B2を行う設備を、2台(設備2-1および設備2-2)に増やす。
○ 設備2-1および設備2-2でも、製品切替時に金型(クランプ金型)交換を行う。
取付け : 30分
取外し : 20分

1 フロアプランと関連付けを変更する

フロアプランに設備を1つ追加し、区別しやすい名前にします。
ここでは、前回の”設備2”を”設備2-1”に、追加した設備を”設備2-2”とします。
また、プレス加工A2およびプレス加工B2を、”設備2-1”および”設備2-2”で並列加工させるため、下記のように関連付けをします。

LEXER Tech8 07

2 ツーリングリソースを追加する

クランプ金型Aおよびクランプ金型Bをツーリングマスタに追加します。

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3 ツーリング・アクティビティを追加する

設備2-1および設備2-2に関して、それぞれのプレス加工のツーリング・アクティビティを追加します。

LEXER Tech8 04
LEXER Tech8 05

4 シミュレーション実行結果の確認

生産計画は前回同様50個ずつを目標とし、投入順序は「製品Aを10個→製品Bを10個→…」として生産レンダリングを実行した後、Production Cockpitとマテリアルフローチャートを見てみます。
すると、設備2-1、設備2-2それぞれで段取による設備停止が発生していることが分かります。

LEXER Tech8 06

5 流し方の改善

これまでは、製品A、製品Bの生産を設備2-1および設備2-2で行いました。
その結果、両方の設備で製品切替時の段取りによる停止が発生することが分かりました。
ここでは以下のような流し方に変更してみます。
・製品Aの生産は設備1 → 設備2-1で行う。(プレス加工A2は設備2-1でのみ行う)
・製品Bの生産は設備1 → 設備2-2で行う。(プレス加工B2は設備2-2でのみ行う)
関連付けは以下のようになります。

LEXER Tech8 07

※ プレス加工A2で [A] キーを押下しながら設備2-2へドラッグ&ドロップすると、関連付けが解除できます。同様の操作をプレス加工B2から設備2-1に対して行うことで、関連付けを上記のように変更できます。

LEXER Tech8 08

6 改善結果の確認

生産レンダリングを実行し、Production Cockpit とマテリアルフローチャートを確認すると、設備2-1および設備2-2では製品切替が発生しないため段取による設備停止が最初の1回だけで済んでおり、生産能力が向上していることが分かります。

LEXER Tech8 09

このように、段取による設備停止をシミュレーションによって把握することで、多品種生産を行う際に発生する製品切替のロスを考慮して、流し方を検討することができます。
今回は単純な製造の流れ、金型の種類、生産順序の例をご紹介しましたが、より複雑な条件でも同様の設定で検証することが可能です。
是非、ご活用ください。

なお、GD.findi に関する詳細は下記ページよりご覧ください。

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